狐女房の伝説 女化稲荷
先日の「麒麟がくる」に美濃の狐女房の昔話が出てきました
狐が女に化けて女房に… って伝説のままの地名です
駒犬ならぬ駒狐… 明治2年 東京の石工 高橋安五郎の作だそう
昔…根本村の忠五郎(もしくは忠七)が、猟師に狙われていた狐を咳払いして助けた
後に家を訪ねてきた女を娶って子どもも生まれて、幸せに暮らしていたが、ある時居眠りした女はうっかり尻尾を出してしまう
子どもに正体を知られてしまった女は、歌を一首残し家を出ていってしまう
「みどり児の母はと問わば、女化けの原に泣く泣く伏すと答えよ」
実はこの女化神社の伝説
明治時代に大胆に脚色されて歌舞伎になって上演されています
題名は「女化稲荷月朧夜」 明治18年 東京 市村座の6月公演です
書いたのは 河竹黙阿弥
「知らざあいってきかせやしょう」の弁天小僧のセリフで有名な『弁天娘女男白浪』をはじめ、『切られお富』『髪結新三』他他 名作多数
令和の今でも人気は全く衰えない歌舞伎狂言作者です
演者は 5代目尾上菊五郎 10代目市川團十郎 初代市川左団次(当時大人気の「團菊左」!)子役時代の15代目市川羽左衛門
タイムマシーンがあったなら、絶対チケットを取って観たい座組です!
菊五郎自身が門人を連れ、女化を来訪して写真をとるなど取材して作ったという話ですが…
なぜか…?再演されることは無かったようです(大正14年発行の黙阿弥全集による)
手元の脚本を読むと さすが黙阿弥!目の前に舞台がうかんでくるようなセリフのやりとり
全幕は長いのでダイジェスト版でも上演してもらえないものかなー
ちなみに今でも度々上演される狐女房の歌舞伎に「芦屋道満大内鑑 葛の葉」がありますが、葛の葉が残す子別れの歌は「恋しくば訪ねきてみよ 和泉なる信太の森の うらみ葛の葉」
舞台で障子に筆でこの歌を書く場面が見せ場です